藤岡 惇
「核の時代は、すべてを変えてしまったが、人々の考え方だけは昔のままだ。
ここに最大の危険がある」
(アルバート・アインシュタイン)
ソ連崩壊後に北朝鮮の発してきた朝鮮戦争終結の呼びかけを米国は一貫して拒否してきた。北朝鮮は、米国の奇襲攻撃による体制崩壊を懸念して、核ミサイルの開発に走った。北が完成させた「核戦力」を放棄するよう、米国は、日本とともに軍事圧力をかけた。その結果、核交戦につながりかねない一触即発の危機に、東アジアは直面している。
現下の核ミサイル危機をどう解決したらよいのか。日本の現政権は、次のように説く。陸上イージスをはじめとしたミサイル防衛網を築き、軍事的圧力を最大限にまで高めていくべきだ。北朝鮮に核開発を断念させ、日本と世界の平和を守っていくには、この方策しかないと。
これに対して、次のように反論する者がいる。この道は人類共滅に通じる。むしろ外交交渉で、朝鮮戦争の終結=平和協定の締結に全力を傾けるべきだ。相互不信が解消していけば、北朝鮮の核ミサイル放棄、東北アジアの非核地帯の創設につながっていくはずだと。
わが国では、前者の声の方が大きい。このような時代背景のもと、わが国の大学や公的研究機関の場では、「防衛」目的であれば、軍事研究を解禁すべきだという主張が台頭している。すなわち「東アジアの厳しい安全保障環境の下では、日米軍事同盟を強化し、精強な防衛力を保有することが平和を維持するうえで不可欠となった。純粋に防衛のための軍事研究や防衛型兵器の開発に協力する程度であれば、認めて良いのではないか」ーこのように説く日本学術会議前会長の大西隆(豊橋技術科学大学長)の見解が、その典型だと言ってよい。2
とくに「ミサイル防衛」(以下MDと略)というのは、敵ミサイルの襲来から「日本国民の命と財産を防衛」すると宣伝されている。これが正しいとなれば、「MDのための軍学共同であればやむを得ない」ということになる。
本稿では、以下の五つの問いに答えていきたい。すなわち
①現下の戦争システムのなかで、「防衛」はどのように位置づけられているのか。
②2001年秋以来、ブッシュ政権のもとで、新型戦争がアフガン・イラクの地で始まった。しかしこの戦争は17年目に入っても終結せず、悲劇的な失敗に終わりつつある。それはなぜか。
③そもそもMDとは何か。日本がMDに深入りしたばあい、平和の維持に役立つのか。それとも情勢をいっそう不安定にし、核戦争を招く恐れが大きいのか。
④核ミサイルを迎撃し、撃墜することは可能なのか。陸上イージス基地から発射される迎撃ミサイルを使えば、北朝鮮の打ち上げる核ミサイルを撃墜できるのか。
⑤東アジア、とくに朝鮮半島の核・ミサイル危機を平和的に解決するためには、何が必要か。
「空・陸・海などあらゆる領域は抗争の舞台となってきた。宇宙も例外ではないことを
現実は示している。それゆえ宇宙内での敵対行動、宇宙からの敵対行動を抑止し、
わが宇宙アセットを防衛する手立てを開発しておくことが絶対に必要となる」
(ラムズフェルド宇宙委員会「報告書」2001年1月)3)
ソ連圏の崩壊後、世界に君臨する唯一の覇者となった米国は、情報ネットワーク技術、宇宙技術、精密誘導技術をブレンドすることで、新型戦争のしくみを開発し、米国の軍事覇権を強固なものにしようとした。
まず米国および同盟国の戦力、地球上に散開する基地群は、軍事専用の通信網で結ばれ、ネットワーク状に連結された。地球上に展開する戦力を垂直方向から観察すると、米国戦略軍宇宙コマンドの指揮と管理のもと、地上から数百キロの近距離軌道、2万キロの測地(GPS)衛星軌道、3・6万キロの静止衛星軌道を、2006年時点で137基の軍事・諜報衛星が編隊を組んで周回していた。4)
戦争システムを束ねる神経系統は天空に移され、衛星を介して統合作戦を指揮するようになった。軍事衛星編隊は、地球上で米軍が展開している数百の基地の上に君臨し、これらを連結し、統合する「基地の基地」、「基地の王様」となったわけだ。2000年代の米国の新型戦争のしくみを「ネットワーク中心型戦争」と呼ぶ人が多いが、5) 宇宙衛星群を結節点とし、宇宙規模でネットワークが統合されたことを考えると、「宇宙をベース(基地・拠点)とするネットワーク中心型戦争」と呼ぶほうが正確であろう。6)
冷戦後の世界では、多国籍企業の「グローバル・バリュー・チェーン」が築かれ、経済のグローバル化の新しい段階が始まったが、その用心棒の役割を果たすべく、天空に「プラネッタリ・ミリタリー・チェーン」が築かれた。経済のグローバル化(地球化)と符節をあわせて、軍事力の面では一段と高次元のプラネット化(惑星化)が推進されたと言ってよい。
冷戦時代に形づくられた米国の「核作戦態勢(NPR)」は、「冷戦勝利後」の現実にあわせて何度か「見直され」てきたが、9月11日事件直後にブッシュ政権によって開始された「見直し」がもっとも大胆なものであった。
この年の「見直し」のなかで、2002年1月に旧来の「核作戦態勢の3本柱」――①大陸間弾道ミサイル、②潜水艦搭載の核ミサイル、③戦略爆撃機は、「新しい3本柱」――①核および非核の攻撃能力、②防衛、③迅速な対応能力をもったインフラストラクチャーに改訂された。①攻撃力、②防衛力、③即応性に富む基盤力が、核作戦を支える「新しい3本柱」(New Triad)として再定義されたわけだ(図―1を参照)。
旧来の核作戦の3本柱は、否定されたのではなく、そのまま維持された。旧来の3本柱は、核攻撃能力という第一の柱の内部に組み込まれ、格下げされたのだ。それとともに攻撃能力を構成するミサイル・砲弾・地雷の多くは、核弾頭でも通常型弾頭でも取り付けることができるようにされた。弾頭部分を取り換えると、核兵器は簡単に通常兵器に転換できるし、通常兵器は核兵器に転換できるように改められた。
そのうえで第2の柱と第3の柱が新設された。核戦争でも通常戦争でも戦える攻撃能力と、そのような戦争を推進するためのインフラストラクチャーとを敵のミサイル攻撃やサイバー攻撃から防衛する部門が「第2の柱」として位置づけられ、優先度を高めた。米軍が先制攻撃を始めても、敵ミサイルの応射・反撃などから米国の戦争システムを守りぬくことで、一人勝ちできる態勢づくりが目指された。
「迅速な対応能力をもったインフラストラクチャー」の維持・強化を「第3の柱」として重視する姿勢も明確にされた。GPS衛星、偵察衛星や開発・補修部門の支援なしには、核および非核の攻撃能力もミサイル防衛能力も十全には機能できないし、GPS衛星編隊が損傷を受け、機能を停止しても、即時に代替衛星を打ち上げるなど、継戦能力を確保し、「迅速な対応能力」に富む基盤を整えておかないと、核(および非核の)戦争をシームレスに戦い、勝利することが難しい時代となった。そこでこのようなインフラ基盤の整備・構築が第3の柱とされたわけである。
これら新しい3本柱は、指揮・統制・諜報・計画といった「戦争の神経系」によって連結され、統合されることとなった。これら「戦争の神経系」の拠点が、天空に移されたのは言うまでもない。核戦争であれ、通常型戦争であれ、このような新しい三本柱を戦争の筋骨体系とするかたちで新型戦争は戦われるだろう。他方宇宙衛星編隊が、「天空の基地」として戦争の神経系統の役割を果たす。新しい三本柱の構図が、「宇宙ベースのネットワーク中心型戦争」の実体を鮮やかに示している。7)
要するに核作戦と通常作戦との間の壁が引き下げられるとともに、作戦態勢の範囲が水平的にも(防衛部門とインフラ部門を含む方向に)、垂直的にも(地表から宇宙へと)大きく広げられたわけだ。8) 戦力の新しい3本柱を統括する任務を米国戦略軍が果たしている。ネブラスカ州オマハに司令部を置く戦略軍のもと、核攻撃部門(「グローバル・ストライク=地球規模の直撃」部隊を含む)9)、防衛部門(サイバー・ミサイル防衛)、宇宙コマンド部門などが属している。これらの部門コマンドが、陸海空軍に属する群小コマンドを統合し、指揮している。
米兵の犠牲を減らそうと、2005年前後から多数のドローン(無人飛行体)が投入され始めると、宇宙衛星を「ベース」として、宇宙から地上に戦争をしかけるという色彩が濃くなった。
とはいえイラク・アフガンで米軍は「本格的な宇宙戦争」を展開してきたと言うならば、それは過言であろう。あえて特徴づけると、「半宇宙戦争」段階の戦争を行なってきたとみるべきではないか。なぜか。衛星と戦場の間で交わされているのは、「情報」であり、未だ「殺傷兵器」ではないからだ。ミサイルを発射しているのは、衛星ではなく、衛星の指示のもとで低空飛行する無人飛行体(ドローン)だからだ。地表から宇宙衛星に向けてミサイルやビーム兵器が発射されるようになり、対抗して衛星の側も武装し、地表の敵や敵衛星に向けて応射するようになった時に、本格的な「宇宙戦争」の段階に入ったと見るべきであろう。10)
米国は2001年10月にアフガニスタン戦争、2003年3月にイラク戦争を始めた。当初の計画では「無敵の新型戦争」システムのおかげで短期に圧勝できるし、サダム・フセインを倒しさえすれば、「圧政からの解放者」としてイラク民衆に歓迎されるはずであった。
第2次大戦後に米軍が日本を軍事占領した折には、占領軍が日本で被ったテロ事件は皆無に等しかった。イラクやアフガニスタンでも、占領時代の日本が再現できるのではという期待のもとで、米国はサダム・フセインを倒すことに成功した。しかし彼を殺しても、新たに無数のサダムが生まれただけで、イラク社会は解体していった。米国は「地獄の門」を開けてしまったのだ。
500億ドル程度の戦費で勝負がつき、中東の石油資源を再び掌握できるので、経済的にもペイするはずだと予想し、ブッシュ政権は開戦したのだが、現実は期待を大きく裏切ることとなった。米兵の人的被害を抑えるために、高価なドローンを含む最新の兵器が投入されると、戦費の増大には拍車がかかった。米国ブラウン大学ワトソン研究所の試算によると、同時多発テロ以来、2016年までの12年間に米国が反テロ地球戦争に費やしたコストは約5兆ドルに達するという。11) しかし米国が獲得した政治的な便益は小さなものだった。じっさいイラクの地にはイランに操縦されたシーア派政権をすえざるをえず、イラン・イラク・シリアをつなぐシーア派枢軸の登場をもたらした。シーア派の伸長を抑えようと、米軍がシリアのアサド政権の転覆に動くと、これに乗じてスンニ派原理主義の「イスラム国」の台頭を招いてしまった。12)
経済的な便益も期待を大きく下回った。イラクの政権はイラン影響下のシーア派に牛耳られているので、米国の思惑どおりに事は運ばなかった。イラクの有力油田の採掘利権の獲得企業を見ると、25・3%は英国・オランダ系、21・0%は中国系、8・4%はロシア系、7・6%をマレーシア系が占め、米国企業は20・2%と後塵を拝する結果となった。13) 新型戦争システムのパワーを実証すべく、莫大な戦費と人的資源を投入したのだが、米国はイラクの石油資源さえ確保できず、中国・欧州・イランに漁夫の利をさらわれてしまった。この失態を招いた民主党政権の弱腰外交をドナルド・トランプは激しく非難し、中国・イランの封じ込めを公約して大統領に当選したのである。14)
「宇宙科学それ自身には 良心というものがありません。核の科学や技術
についても、同じことが言えるのですが、良き目的のために役立てるのか、
邪悪な目的のために利用するのかは人間に委ねられています。・・・・私た
ちが船出しようとしているこの宇宙が平和の海となるのか、恐ろしい戦争の
海となるのかは、私たちの決断にかかっているのです」(ジョン・F・ケネディ
大統領、1962年9月12日、テキサス州のライス大学での講演から)15)
過去に外国勢力が米国本土を先制攻撃(侵略)したことから始まった戦争は、ほとんど例がない。唯一の例外が、1941年12月に日本軍が真珠湾を先制攻撃したこと、2001年9月11日に非国家組織のアルカイダが米国本土にテロ攻撃を加えた事件にとどまる。それ以外の戦争は、米国による先制攻撃のかたちで始まっている。
2003年3月のイラク、2011年2月のリビア、2017年4月のシリアへの米軍(および同盟国軍)の先制攻撃の先例を見れば、今後の戦争も、北朝鮮・中国などへの米軍の先制攻撃から始まる可能性が高いと予想せざるをえない。
そのばあい、北朝鮮や中国は残存ミサイルを応射し、反撃してくるだろう。MDとは、応射ミサイルを撃墜し、米国の新型戦争システムを守り、米軍を完勝に導こうとするものであり、日本国民の命と暮らしを守るものではない。純粋な防衛のための防衛(「専守防衛」)を実行しようとすれば、日米軍事同盟から離脱する必要があるが、そのような覚悟が日本人にない以上、MDには、先制攻撃を促進し、戦争を引き寄せる可能性が大きいと判断せざるをえない。
米国の核抑止力を背後にもち、精強な軍事力を整えていき、ミサイル防衛の壁を着実に築き上げていくといった軍事的な圧力を強化していけば、北朝鮮などの「潜在的敵国」は、軍事的対抗を諦め、おとなしくするだろうし、MDのパワーで、敵国の攻撃力を弱め、抑え込むことができるというのが米国と日本の権力者たちの伝統的な考え方であった。しかしこのような戦略が思惑通りの効果を発揮せず、敵国の攻撃力強化を招く結果となったことを、最近の北朝鮮・中国・ロシアの行動が示している。
ミサイルの発射地点・時点を敵に悟らせないよう、多くの対抗措置が講じられた。潜水艦に搭載し水中から発射する、トレイラ―に搭載し自在に移動させる、夜間に発射する。列車に搭載し、鉄道で自在に移動させ、そこから発射するという方式をロシアは考案している、等々。16)
また2017年4月末に中国はロシアと協力して、音速の5倍から10倍の超高速で飛び、MD網を貫通できるような滑空飛行体の実験に成功した。17)
2017年5月29日に北朝鮮は、新たなミサイル発射実験をした。「精密誘導システム」を導入していたため、このミサイルは中距離を飛行し、「予定目標より7メートルの誤差」で正確に命中したと、翌30日の朝鮮中央通信は発表した。この報道が正確だとすると、北朝鮮は、核弾頭を使わずとも、原発・核施設に致命的な打撃を与える能力を獲得したのであろう。
17年7月28日の深夜の11時52分に北朝鮮は、火星14号ミサイルを打ち上げた。高く打ち上げて飛距離を抑えるロフテッド軌道で発射されたので、高度は3725キロメーターに達し、47分12秒間に水平方向に998キロ飛行し、予定地に着弾したと発表された。通常軌道だと射程は1万キロに及ぶという。18)
攻撃力の強化で盾を突破するほうが、はるかに容易で低コストだというのが、過去の核軍拡競争が示した教訓であった。その結果1960年代には“MAD”(戦争になれば確実に共倒れになる相互確証破壊)状態に至ったのであるが、21世紀に入って、同様のプロセスが始動し、再び“MAD”的な状況に立ち至ったわけだ。
盾と矛の均衡が破れ、米国側が伝来の戦略に従い、先制攻撃を敢行し、北朝鮮や中国の持つミサイルの半分が米軍側の先制攻撃で破壊されたとしよう。両国は残る半分のミサイル(核ミサイルを含む)を打ち上げ、米軍の戦争システムの最も弱い「急所」(アキレス腱)に絞って、反撃を試みてくるだろう。浮上してくる「急所」とはどこか。以下の4つだと予想される。
ミサイル防衛態勢を築き、地上の司令部や要人の防御を固めていけばいくほど、戦争システムの要でありながら無防備のままの人工衛星編隊を集中的に狙い撃ちする競争が激しくなるであろう。
軍事・諜報衛星といった宇宙アセットが、第一の標的となるだろう。迎撃ミサイルで敵ミサイルを直撃し、破壊するのは難しいが、軍事衛星は定時に定位置を巡回しているので、はるかに撃墜しやすい。しかも軍事衛星は、接近する敵衛星や敵ミサイルを撃破するための武器を搭載していない。今のところは「裸の王様」なのだ。19)
今から17年前の2001年1月に発表された「ラムズフェルド宇宙委員会報告書」は、こう警告していた。「諜報衛星や軍事衛星が攻撃されたりすると、わが国の継戦能力は甚大な打撃をこうむるだろう。真珠湾事件……などの歴史が教えているように、防衛が難しい軍事資産をかかえていると、敵の絶好の攻撃目標となるものだ。……米国は『宇宙のパール・ハーバー』に見舞われる格好の候補だ」と。20)
実際、レーガン政権期の1984年から86年にかけて、米国はF-15戦闘機から迎撃体を発射し、低軌道衛星を直撃させる実験を5回実施し、1985年の実験では実際に人工衛星の破壊に成功した。ソ連も同時期に、地上から迎撃ミサイルを打ち上げ、自国の人工衛星に衝突させ、破壊する実験をしていた。21)
2007年1月11日、中国軍は弾道ミサイルを内陸部の四川省西昌から、米国のミサイルでは迎撃できない角度で発射し、高度850キロの宇宙空間で自国の気象衛星を撃墜することに成功した。その残骸は650個以上の断片(デブリ)となって、今も地球を周回している。
対抗して米国の戦略軍司令部は、2008年2月21日にイージス巡洋艦から迎撃ミサイルを発射して、自国の軍事偵察衛星を北太平洋の上空247キロで撃墜した。MDに用いる迎撃ミサイルというのは、それ自体、「敵のミサイルを攻撃し、破壊する攻撃兵器」にほかならないが、ミサイル攻撃に用いるよりも、衛星攻撃兵器に転用したほうが、はるかに効果的だということが改めて明らかになった。
2013年5月15日に中国が打ち上げたロケットが、高度3万6千キロの静止軌道に達した。米国の静止衛星を撃墜する能力を中国が保有したことを懸念して、米国は、2014年中に2基、16年に2基、合計4基の軍事衛星を静止軌道に打ち上げ、静止衛星を防衛する任務にあたらせるという。22)
敵の衛星をダウンさせるには、地上ないし航空機からレーザー光線を発射し、衛星に照射して、電子回路などを破壊するという方法もある。この分野では米国・ロシア・中国ともに幾多の訓練を積み重ねており、レーザー光線の出力を高めさえすれば、低高度(1000キロ以下)衛星の大半は、ほぼ確実にダウンさせられる段階に入っている。
「裸の王様」を攻撃するには、ミサイルやレーザー光線といった方法以外にも、認知されにくい超小型の「キラー衛星」を打ち上げる方法、あるいは大型の衛星のなかに多数の小型キラー衛星を隠しておき、有事のさいには、キラー衛星を散開させ、敵の衛星に隠密裏に接近させ、破壊していくといった方法もある。23) 2017年2月15日にインドが打ち上げたロケットから104個の衛星が放出された。その大半は重さ6キログラム余のミニ衛星だった。24) 同年6月23日にはインド宇宙研究機構が別のロケットを打ち上げ、平均8キログラムのミニ衛星31基を放出した。25)
今後もこの勢いでミニ衛星の打ち上げが進めば、地球は数千のミニ衛星によって取り囲まれる時が来るだろう。そうなるとミニ衛星がキラー衛星に化け、軍事衛星に密かに接近し、自爆攻撃をしかけることも考えられる。
日本の軍事衛星にも米軍の要請を受け、宇宙戦争下でも生き残れるよう「宇宙核戦争仕様」を施す動きが急だ。これに応えるのが2015年の「第3次宇宙基本計画」の目的の一つだった。26)
精密誘導技術に難がある北朝鮮や中国のような国にとって、「裸の王様」を確実に頓死させるにはどうすべきか。もっとも確実な方策は、衛星軌道の近くで核爆発をおこすことだ。
1958年と62年に天空で行われた「高高度核爆発」(HANE)について紹介しておこう。米国は、1958年の4月から8月にかけて、太平洋の上空の28―80キロの上空で、3度の核実験を行なった。たとえば迎撃用核ミサイルの効果を評価するために実施された「チーク作戦」では、高度77キロで3.8メガトンの核爆発が起き、太平洋全域で無線通信が途絶する結果となった。27)同年8月27日―9月6日には、南アフリカ沖の宇宙空間で米海軍が、ミサイル迎撃用核ミサイルの爆発実験(1.7キロトン)を3度実施した(アーガス作戦)。
部分核停条約で大気圏内と宇宙(高度100キロ以上)での核実験が禁止される直前の1962年になると、米国は宇宙での核爆発の効果を確認するための最後のチャンスとして、ジョンストン島上空の高層で9回の核実験(フィッシュボール作戦)を行なった。9回のうち成功したのは3回であったが、とくに7月9日、400キロ上空で1.4メガトンの核爆発をおこしたスターフィッシュ・プライム実験は、本格的な宇宙での核実験であり、注目を集めた。400キロ上空ではほとんど大気がないため、爆発音も爆風も火災も起こらない。核爆発のエネルギーはもっぱら放射線と熱線、電磁パルスに姿を変えて、光速で周辺に広がり、その影響は数万キロ先まで届くことがわかった。その結果、水平線上に「赤い人工オーロラ」が発生し、ハワイ諸島全体に停電を引き起こしただけでなく、その後7カ月の間に、7基の衛星が機能を停止した。11月1日に97キロ上空で410キロトンの核を爆発させたキング・フィッシュ実験でも 、直後に美しいオーロラが現れ、太平洋中部の無線通信が3時間以上途絶した。
また核爆発の後に発生する大量の荷電粒子が、宇宙空間に「高エネルギー粒子の雲」を形成し、地磁気の力を受けて、地球を周回する「強烈な放射線帯」(人工のヴァン・アレン帯)を形成すること、宇宙衛星がこの放射線帯を通過するにつれて、衛星機器が故障することも分かってきた。このような放射線帯は、いったん形成されると、数ケ月から数年は持続し、宇宙衛星を次々とダウンさせることも分かってきた。28)
ソ連側も同年に、中央アジアの核実験場の上空60キロ・150キロ・300キロの高さで300キロトンの核爆発実験を計三回行ない、米国のばあいと同様、電気通信の途絶・変調を招いた。
以上の歴史的経験からどのような教訓を引き出すべきか。MDに注力すればするほど、核ミサイルを打ち上げても地上の標的を狙わずに、宇宙で爆発させた方が有利となることだ。宇宙の核戦場化を望まないならば、核兵器禁止の議論と同時に、MD・宇宙軍事化の規制・禁止にむけた議論を始める必要がある。
宇宙低層(100-1000km)での核爆発のばあい、天空の衛星編隊の機能をマヒさせるだけでなく、放射線が気体分子と衝突することにより、強力な電磁パルスが発生すること、その結果、地上の電力システムに甚大な影響を与えることが分かってきた。
2016年7月にドナルド・トランプ氏を大統領候補に指名した共和党大会で採択された選挙綱領には、次のような一項が含まれていたという。「一発の核爆弾が我が国のはるか上空で爆発すると、電力供給網と死活的に重要なインフラが崩壊し、何百万もの生命が危険にさらされる。北朝鮮が核弾頭搭載可能なミサイルを持ち、イランも保有に近づいている現状を見れば、電磁パルス攻撃は・・・・現実の脅威である」。29)
爆発の時点では死傷者も建物の破壊も発生しないが、電磁パルスによる大電流が送電線に入り込み、変電施設などは次々と焼け落ちた状態となり、スマートフォンやパソコンなどにも大電流が入り込み、破壊されてしまうという。この問題を扱った2004年の議会報告書によると、復旧までに数年を要し、家庭の電気冷蔵庫は使えず、冷凍食品は腐敗し、衛生確保が困難となることから飢餓と疫病がまん延し、米国などの電力依存度の高い社会では、最悪のばあい、一年後には90%が死亡する可能性があるという。
核戦争になれば、地球環境に深刻な波及効果が発生する。莫大な量のチリが高層に舞い上がり、地球は厚い雲に覆われるようになり、地球は寒冷化していくという「核の冬」仮説が1980年代に影響力を広げたが、核戦争の影響はそれだけではない。宇宙空間で核爆発が起こると、人工衛星活動のマヒと地上の電力システムのマヒをとおして、社会活動がシャットダウンさせられ、長期的な「核の闇」がもたらされる可能性が高いことが判明してきたわけだ。30)
新型戦争システムのアキレス腱として、サイバー空間・宇宙空間をあげてきたが、いま一つの「急所」が、原子力発電所(原発)と核施設のなかの原子炉、および核燃料の冷却・保存プールであろう。とくに米軍が、北朝鮮の核兵器開発拠点に設置された原子炉を攻撃し、破壊したならば、「同規模の反撃を加えても是認されるという同等性の原則」に則って、北朝鮮が、米国とその同盟国の原発・核施設を「報復反撃」してくることは想像に難くない。
原子炉とは「ゆっくりと爆発する原爆」のことだが、この暴龍を飼いならし、「魔法のランプ」内に閉じ込め、電源として安全利用することは可能だとされてきた。しかしフクシマは、ランプの簡単な壊し方があることを世界中の軍事集団に教えた。どんなに小国、どんなに弱小な軍事集団であれ、自爆テロなどの方法で原発を攻撃する覚悟さえあれば、核爆発(放射性物質の爆発的放出)を生み出す能力を保有できることを示したわけだ。核大国だけが核爆発力を独占するという時代は過ぎ去り、核爆発能力の画期的な民主化が達成されたというのが、フクシマの送る最大のメッセージであった。
国内でもっとも攻撃されやすいのは、福島第一の半壊した1-3号機だろう。3つの原子炉の格納容器を満たしている冷却水が抜けてしまうと、デブリとなった溶融核燃料は発熱し、再溶融し、爆発してしまう。また1-3号機格納容器上辺の冷却プールにはなお1573本の核燃料体(うち180本は新燃料)が保管・冷却されているし31)、4号機西の核燃料貯蔵の共用プールにも6千本以上の使用済み核燃料棒が冷却貯蔵されている。電源喪失が起こり、冷却機能が失われると、核燃料体は溶融・爆発してしまうだろう。32) 使用済み核燃料体というのは、半減期の長い、いわば汚い放射能が集中的に残存しているところだ。
第2のターゲットは、無防備な海岸沿いに並ぶ54基の原子炉と核燃料貯蔵プール、および使用済み核燃料を再処理・転換する2つの施設(茨城県の東海再処理施設、青森県の六ヶ所再処理工場)となるだろう。
2015年7月29日の参議院平和安全特別委員会において山本太郎議員(生活の党)は、つぎのように質した。「では、お聞きします。川内原発で稼働中の原子炉が弾道ミサイルを受けた時、最大でどの程度の放射性物質の放出を想定していらっしゃいますか。」
原子力規制委員会の田中俊一委員長はこう答弁した。「航空機の衝突は想定しておりますが、弾道ミサイルの場合はまとめておりません。 ・・・原発が弾道ミサイルに襲われる・・・・・という事態は、そもそも想定しておりません」と。安倍首相も「このような事態は想定していない」とし、このような事態となったら対処できないことを認めざるをえなかった。33)
原子炉建屋に中型飛行機が突っ込むレベルのテロに対処する「特定重大事故等対処施設」の2020年秋の完成を約束して、2017年6月16日、関西電力高浜原発4号機は営業運転を再開した。34) ミサイルに直撃されたばあい、この程度の施設では原子炉を守ることはできないだろう。
全ての原子炉・再処理施設を地下深くに移設できれば、ミサイル攻撃のリスクはある程度は小さくなるが、莫大なコストがかかることは間違いない。日本を「宇宙でも戦争ができる国」に変えようとすれば、憲法9条の存続を想定して、原発を安上りに作ってきたことのツケが噴出してくるに相違ない。35)
目を韓国に転じよう。韓国南部釜山市の古里原発3号機内の使用済み燃料プールには、818トンという大量の使用済み核燃料が冷却・保存されている。朝鮮戦争が再開され、軍事攻撃が発生し、プール内の核燃料棒が溶融し、大量の放射能が流出したとしよう。冬の偏西風にあおられて、放射性物質の帯が日本列島の大都市圏に押し寄せるという最悪シナリオでは、2830万人の日本住民の避難が必要となると専門家は試算している。36)
宇宙空間での核爆発にせよ、原発への軍事攻撃にせよ、電子機器、都市機能、戦争システムこそダウンするものの、人体への悪影響は「直ちには現れてこない」と予想される。人的被害が見えない段階で、報復核攻撃を命ずるべきかどうか、核大国の首脳は苦悩せざるをえないだろう。37)
2017年4月末に米国は、韓国に高高度迎撃(サード)ミサイルを配備した。サードとは、40~150キロの高度で敵ミサイルを破壊し、撃墜するタイプのミサイルである。
12月19日には米国側の働きかけを受け、安倍政権は、秋田県と山口県に2つの陸上イージス基地を建設し、SM3(ブロック2A)という迎撃ミサイルを配備することを決めた。
米国は、何のために韓国にサードを配備し、日本には陸上イージスの建設を求めたのか。北朝鮮だけでなく、中国・ロシアの核ミサイルも、米国の戦争システムの中枢(グアム、ハワイ、米国本土・宇宙)に狙いを定めている。これらの核ミサイルが米国の戦争システムの中枢に届く前に、自衛隊に命じてブロックさせ、撃墜させるためにほかならない。日本上空を通過する段階では、核ミサイルはすでに200キロ以上の高度に達しているので、サードでは間尺にあわないのだ。
米国の戦争システムを北朝鮮の「報復攻撃」から守ることが陸上イージスの使命となろう。それはなぜか。核ミサイルを放棄しない北朝鮮側の核施設や首脳部の隠れ家に対して、まず米国側が奇襲の「首切り」攻撃を敢行し、これをきっかけに朝鮮戦争の再開に至るというのが、開戦に至る最有力のシナリオだからだ。
先制攻撃された北朝鮮は、核ミサイルの応射で対抗しようとするだろう。SM3を用いると、北の核ミサイルを撃墜できるのか。過去の迎撃実験の実績から判断する限り、撃墜できる可能性は低いが、北の核ミサイルを撃墜する勢いで、SM3が接近するものと仮定しよう。
北朝鮮側には対抗手段がある。迎撃ミサイルの接近を感知したら、ただちに爆発を起こせる感応装置、いわゆる「近接信管」を核ミサイルに搭載しておけばよい。核反応は化学反応の数千倍の速さで進み、わずか百万分の1秒で終わる。強力な水素爆弾のばあい、5段階の核反応が必要だが、所要時間は10万分の1秒程度だろう。38)
北朝鮮の核ミサイルは秒速4キロで飛ぶとし、これに正面衝突する勢いでSM3が秒速5キロで近づくとしよう。両者は1秒につき9キロメートルの速度で接近し、あと1メートルで衝突という時点で、北のミサイルがSM3の接近を感知し、核爆発が始まったとしよう。10万分の1秒が核爆発の所要時間だから、わずか9センチメートル近づいた時点で、核爆発は終わってしまう。SM3が核ミサイルを追尾する形となれば、1センチメートルも追いつけない間に、核爆発は終わってしまうだろう。
核ミサイルの自爆は、日本のはるか上空の宇宙空間で行われる可能性が濃厚だ。核爆発が放つ放射線は、気体分子と衝突するなかで、強力な電磁パルスを生み出し、人工衛星の各種機能をマヒさせ、電気通信や交通は途絶し、GPSはマヒし、スマフォは繋がらず、停電が続き、冷凍食品は腐り、疫病がまん延するなど、日本全土は、深い「核の闇」に長期間、閉ざされてしまう可能性がある。SM3が核ミサイルに接近できたとしても、核ミサイルは突如「妖龍」に変身し、天空から「核の雷撃」を下し、日本を「核の闇」に引きずり込む公算が大なのである。
かつてアインシュタインはこう警告した。「核の時代は、すべてを変えてしまったが、人々の考え方だけは昔のままだ。ここに最大の危険がある」と。核ミサイルと通常弾頭ミサイルとの間には決定的な違いがあることを見抜き、「核交戦には勝者はいない、共滅あるのみ」という真実の直視から、私たちは出発しなければならない。
「日本とは東海に張られし一本の弦、平和の楽を高く奏でよ」
(結城哀草果、1953年)
「ミサイル防衛」というのは、幻想に満ちた愚策であることを見てきた。しかしMDにも、日米核軍事同盟にも頼らずに、東アジアの安心と安全、平和を築くことはできるのか。誰も確言はできない。しかし生き残ろうとすれば、以下の3点を実行していく以外にないのではないか。
「平和を欲すれば戦争に備えよ」という言葉がある。これへの反発から「平和を欲すれば、平和に備えよ」と唱える人がいるが、核戦争の実相から目をそむけては、平和の創造は難しいであろう。
戦争を直視するうえで、軍事に通じた専門家の言説は貴重だ。たとえばマッカーサー元帥は、1951年5月5日の米国上院の公聴会の場でこう述べた。「戦争の廃止が必要です。・・・中途半端ではダメなのです。皆さんは核戦争の専門家としてそれを知るべきです。・・・日本(の憲法9条)にその偉大な例証があるのですから」と。1955年の米国退役軍人協会総会の記念講演でも、彼は次のように説いた。「・・・核兵器をはじめ兵器が驚くべき進化をとげた結果、戦争の廃絶が、宗教的・道徳的な問題ではなく、科学的リアリズムの問題として再び浮上してきたのです・・・私たちは新しい時代に生きています。古い方法や解決策は、もはや役立ちません。私たちには新しい思想、新しいアイデンティティ、新しい発想が必要なのです」と。39)
なぜ朝鮮戦争は68年間も続いてきたのか。休戦協定から勘定しても65年がたつのに、なぜ終結しないのだろうか。
たしかに前半期には、南進・武力統一方針を放棄しなかった北朝鮮側に重要な責任があったことは否定できない。1970年から80年代末にかけて、集中的に発生した日本人拉致事件も、武力統一方針の産物であった。
ソ連の崩壊は北朝鮮の南北統一戦略に深い影響を与え、1990年代後半になると、北朝鮮側は武力統一方針を事実上放棄し、「朝鮮戦争の終結」を求めだした。ベトナム・中国などの事例に学びつつ、北朝鮮を世界経済に統合しようとする試みも繰り返し行われた。
にもかかわらず終結しないのはなぜか。米国を中核とする世界中の軍産複合体が、己の私欲を満たすために、東アジアの地に冷戦のしくみを温存しようとしたからではないか。そのため北朝鮮社会の一角にも軍産複合体を根付かせ、陰に陽に朝鮮戦争終結の動きを妨害してきたからではないか。40)
しかし時代は変わり、朝鮮戦争の終結が中国・ロシア・北朝鮮、そして韓国の新政権の共同要求になりつつある。米国が、北朝鮮の現体制の軍事的打倒方針を取り下げ、朝鮮戦争終結にゴー・サインを出すことこそが、北朝鮮内の軍産複合体を孤立させ、核兵器開発を止めさせ、東アジアの冷戦構造を解体していく転換点となるだろう。
第3に、ドローン攻撃など、半宇宙戦争を野放しにしておいては、「衛星攻撃の禁止」も「核兵器禁止」も絵にかいた餅に終わるだろう。「半宇宙戦争」自体を禁止することから始めねばならない。この点については、国際的な平和団体Global Network against Weapons and Nuclear Power in Space (「宇宙の軍事化と核戦場化に抗する地球ネットワーク」)が先駆的な探究をおこなってきた。41)
“MAD”的状況に至った東アジアでは、「攻められたら、どうするのか」と問うてはならない。そうではなく、「攻められたら、終わりだよ」を共通の旗印にし、「そうさせないための外交」、「国境を越えた市民社会」の強化に注力したい。とともに、自衛隊を日米軍事同盟から切り離し、専守防衛の自衛力に縮減する努力、自衛隊の大半を災害救助隊に転換する努力を行っていくべきではないだろうか。42)
1)藤岡 惇「軍事経済から平和経済へ」君島東彦編『平和学を学ぶ人のために』2009年、世界思想社、336-341ページ。
2)多羅尾光徳ほか『「軍学共同」と安倍政権』2017年、新日本出版社、31ページ。
3)Report of the Commission to Assess US National Security Space Management and Organization,Jan.2001,p.15.
4)Union of the Concerned Scientists, Space Security, 2007.
5)福島康仁「宇宙空間の軍事的価値をめぐる議論の潮流」『防衛省防衛研究所紀要』15-2,2013年2月号。大熊康之『軍事システムエンジニアリングーーイージスからネットワーク中心の戦闘まで』2006年、かや書房。大熊康之『戦略・ドクトリン統合防衛革命』2011年、かや書房の8・9章も参照。
6)藤岡 惇『グローバリゼーションと戦争――宇宙と核の覇権をめざすアメリカ』2004年、大月書店。
7)藤岡 惇「米国戦略との一体化は宇宙戦争と新型核戦争を招く」『季論21』2015年秋、102ページ。
8)『米国の核政策および核軍縮・不拡散政策』2007年、日本国際問題研究所のとくに第2章・第3章。
9)ウイリアム・イングドール(為清勝彦訳)『ペンタゴン 戦慄の完全支配』2011年、徳間書店、185・228ページ。
10)藤岡 惇「新型核戦争システムと宇宙軍拡」『世界』2015年3月号、148ページ。
11)『赤旗』2016年9月19日付け。James Fallows, Tragedy of the American Military, Atlantic Monthly, Jan/Feb.2015,pp.76-84は、12年間の総コストを、4.5兆―6兆ドルと見積もっている。アンドルー・ファインスタイン(村上和久訳)『武器ビジネス 下』2015年、原書房、286ページもほぼ同様の結論に達している。
12)藤岡 惇「ブッシュの8年間をどう見るかーー新帝国主義へのUターンがもたらした諸矛盾」『立命館経済学』57巻特別号、2008年11月。
13)『朝日新聞』2013年4月9日付け。
14)ドナルド・トランプ『タフな米国を取り戻せ』2017年1月、筑摩書房、18-33ページ。
15)Mike Moore, Twilight War,2008,p.200
16)Why Russia’s Reviving Its Nuke Trains, Space War,May 17,2016.
17)Space War,May 2,2016.『京都新聞』2017年2月27日付け
18)『京都新聞』2017年7月29日(夕刊)
19)Joan Johnson-Freese, Space as a Strategic Asset,2007,p.95. Mike Moore,Twilight War,2008,p.200.
20)Report of the Commission to Assess US National Security Space Management and Organization,Jan.2001,p.15.
21)福島康仁「宇宙空間の軍事的価値をめぐる議論の潮流」前掲、56ページ。
22)『産経新聞』2013年5月17日。aviationweek.com, Feb.21 2014.
23)William J Broad, Administration Conducting Research into Laser Weapon, New York Times, May 3, 2006. Space Security,2007,p.129.
24)『朝日新聞』2017年2月16日
25)Space Daily, June 26, 2017.
26)池内 了『宇宙開発は平和のためにーー宇宙の軍事化に乗り出した日本』2015年、かもがわ出版、129-134ページ、藤岡 惇、2015,150ページを参照。
27)Ensuring America’ s Space Security :Report of the FAS Panel on Weapons in Space, 2004 所収のDennis Papadopoulos, Satellite Threat due to High Altitude Nuclear Detonations.
28)D. G. デュポン「ハイテク社会を揺るがす宇宙からの核攻撃」『日経サイエンス』2004年10月号、97-98ページ(原文はDaneil DuPont,Nuclear Explosion in Orbit, Scientific American, June 2004)
29) 永田和男「高度上空の核爆発で起こる『電気がない世界』の恐怖」 “YOMIURI ONLINE”2017年5月24日付。『日本の科学者』2017年9月号、58ページ。
30)永田和男、前掲
31) 『原子力資料情報室通信』516号、2017年6月1日、10ページ。
32) 藤岡惇「軍事攻撃されれば原発はどうなるか」、後藤宣代ほか『カタストロフィーの経済思想――震災・原発・フクシマ』2014年、昭和堂、328-330ページ。 藤岡 惇「軍事攻撃されれば福島の原発はどうなるか」、木村朗ほか編著『核時代の神話と虚像』2015年7月、明石書店、288-293ページ。
33) 時事通信社 2015年7月29日 午後9時1分配信記事。
34) 『朝日新聞』2017年6月17日。
35)この点の指摘は、豊下猶彦「高浜原発再稼働、北朝鮮への備えは」『朝日新聞』2017年4月20日。吉田文彦「核のリスクを見つめ直せ」『京都新聞』2017年4月1日。
37)D.G.デュポン、前掲論文、101ページ。
38)「北朝鮮の核開発どこまで」『朝日新聞』2017年9月7日。
39) Glenn D. Paige, Nonkilling Global Political Science, 2nd Edition, 2007,p.156. 岡本三夫の翻訳による。『非核・非暴力・いのち・平和』10号、2010年2月、岡本非暴力研究所。藤岡 惇「原爆投下と敗戦の真実――米国の『アメとムチ』作戦の全貌」『立命館経済学』65巻特別号14、2016年9月、49ページ。
40) 谷口長世「北朝鮮核緊張のまぼろし(下)」『世界』2017年8月号、226-232ページ。五味洋治『朝鮮戦争はなぜ終わらないのか』2017年、創元社。
41)ブルース・ギャグナン(藤岡 惇・田中利幸訳)「宇宙的視野から核兵器廃絶の展望を考える」『世界』2010年6月、263ページ。 2015年7月に京都で開かれた23回目の年次大会(「宇宙と平和国際セミナー@京都」)の模様については、http://space-peace-kyoto.blogspot.jp/を参照されたい。
42)法学館憲法研究所編『日本国憲法の核心』2017年5月、日本評論社、「対談」中の森 英樹さんの発言。(『平和研究』(日本平和学会)第48号、「科学技術の暴力」、早稲田大学出版部、2018年3月、1-23ページ)