2018年1月16日
以下の問いの大部分にたいする私の見解は、「帰りなん、いざ豊穣の大地と海へ」(藤岡のHPの「藤岡の論文を読んでみませんか」の冒頭の文献)のなかに収録されています。藤岡見解を念頭におきつつ、不十分なところを批判し、あなた自身の見解を積極的に展開してください。
Ⅰ.必答問題
(1) ①イノチ(生命)とは何ですか。あなたの意識(脳)がイノチを持っているのですか。それとも地球で30億余年引き継がれてきたイノチが、今あなたを生き、あなたの心身を自然体に向けて発達させ、ある段階で自我意識を生み出してくれたのですか。
②自我が発達してくると、イノチをある程度「財産」のように管理できるようになります。そのばあい、イノチはあなたの私有財産ですか。それとも一定期間管理を託された信託財産のようなものですか。後者としたばあい、誰から、何のために信託された「財産」なのでしょうか。沖縄のイノチ観を取材した草場一寿『毎日がいのちのまつり』を参考にしつつ、あなたの見解を展開してください。絵本『葉っぱのフレディーーいのちの旅』も参考になるかもしれません。
(2) ヒトの直立歩行とともに「自然」から「社会」が枝分れし始め、農耕・定住革命が始まった1万年ほど前に社会から「政治」が枝分かれし、ほぼ同時期に社会から「文化」が枝分かれする動きも始まったとされます。また先進国では500年ほど前に社会から「経済」が枝分かれし、150年ほど前から「自己調整的な市場経済」が暴走する時代を迎えたといわれます。そもそも自然、社会、政治、経済、文化(芸術・学問・宗教を含む)とは何であり、相互にどのような位置関係にあるのですか。藤岡見解(「帰りなん、いざ豊穣の大地と海へ」8-12ページ)を批判的に読解しつつ、あなたの見解を展開してください。
Ⅱ.選択問題 以下の11問から8問を選んで答えてください。
(1) 10月1日までにBKCエポックホールにて開催の世界報道写真展 を見学し(10月3日―20日の間に、衣笠の立命館大学国際平和ミュージアムで見学してもよい)、現代世界の暴力・戦争と平和との関りで、もっとも刺激をうけた写真1枚(連続もののばあいは1セット)をとりあげ、写真の背景を調べるとともに、刺激をうけた理由を説明してください。
(2) ①ヒトの細胞には、平均して2メートルのDNAが収納されています。あなたの体内の全DNAをつないで、1本の糸にしていくと、どれくらいの長さになりますか。この糸を使うと、地球と太陽の間を何回巻くことができますか。
②宇宙(自然)になぜ我々(ヒト)が存在するようになったのですか。「137億年の歳月をかけて、幾度とない陣痛(超新星爆発、中性子星・ブラックホール同士の合体など)の苦しみに耐えつつ、宇宙自身がついに自らの姿を捉える自己認識装置をつくりだした。この宇宙の自己認識装置というのが、ヒトを含む高等生物(異星人を含む)の位置と役割ではないか」とか、「『ノブレス・オブリージュ』(高貴なる者は義務を負う)を果たす限り、ヒトの尊厳は揺るがない」と主張する人がいます。この点について、あなたの見解を述べてください。
(3) ヒトの果たすべき「ノブレス・オブリージュ」とは何でしょうか。自由に論じていただいて結構ですが、①龍村仁『ガイアのささやき‐―気の交信』のなかで描かれたアフリカのブッシュマンの狩りの作法、②死期を悟った人は、絶食(水は除く)に入り、腐らずに枯れていくジャイナ教徒の自然死の作法、③死体は火葬せず、遺骸を他の生き物に食べてもらった後に、洗骨葬を行う世界各地の作法(海水の入るガマで水葬した後、数年後に洗骨葬を行う沖縄、土葬の後に数年後に洗骨葬を行うベトナム、鳥葬のチベット)には、最低、言及してください。
(4) 「エコノミー」(経済)と「エコロジー」(生態系)とは、ともに「オイコス」(棲家)というラテン語から生まれた派生語です。「エコノミー」と「エコロジー」とは何が違い、どんな関係に立っているのでしょうか(サティシュ・クマールさんの説明が簡潔で、参考になるかと思います)。
(5) ①原始人のあいだで進行した直立歩行が、男女関係を変革したという説があります。すなわち、背骨で支えることで脳の肥大化が可能になった一方、頭でっかちとなった胎児の分娩は難しく、未熟児のままで早産するほかなくなりました。直立歩行のため膣(産道)が下に向いたことも、早産に拍車をかけました。こうして未熟児が成長し自立するまでの間、オスに子育て支援してもらうことが不可欠となりました。そのためメスは、自らの体を発情期以外でも性交ができるボノボ(ピグミーチンパンジー)型に近づけ、オスとの間で長く続く性関係・家族関係を築くことで、オスの子殺しを激減させ、情愛と共感力に富む社会を作り出したという説です。この説は、正しいですか。誤りを含んでいますか。どうしてそう判断するのですか。
②世界どこでも男性の間には好戦的な志向、女性には紛争の平和的解決を好む志向が強いという傾向があります。それはなぜでしょうか。
(6) 「こころ」とは何ですか。どこにあるのですか。「自分探し」に熱中したあげく、「心理主義」の罠に落ち込み、挫折する若者が増えていると聞きます。「心理主義」の罠からわが身を解放するにはどうしたらよいのでしょうか。
(7) 皮膚の色や体格などの外見的相違から、ヒトの優劣を説明する人を「人種主義者」と言います。他方、ヒトには「民族」の相違はあっても「人種」のような違いはないと言う人もいます。
①6万年前に現生人類のアフリカ外への拡散が始まったとすれば、ヒトの外見的特徴の相違はいつごろ、どのようにして生まれてきたのでしょうか。「人種主義者」の主張は正しいですか。
②中国人・朝鮮人、琉球人・アイヌと「日本人」との間の遺伝子的な違いや文化的な違いは、いつ、どのようにして生まれてきたのですか。
③マルコ・ポーロなど14世紀に中国に渡った南欧人たちは、日本(NIPPON)をなぜ、ZIPANG(英語読みはJAPAN)と呼ぶようになったのですか。
(8) 地球温暖化(気候変動の激化)とは何であり、どのようなしくみで起こっているのですか。温暖化をめぐって、人間原因説は誤り、自然原因説が正しいと説く言説が、エクソン社や富豪のコーク兄弟の支援の下で、米国と日本では猛威を振るい、トランプ政権の誕生に行きつきました。彼らの主張は正しいですか。 40万年にわたる大気中の二酸化炭素濃度の変化と気温変動との間には密接な相関があるとする資料―3の図は、何を物語っていますか。
(9) 動物と植物の共通のルーツである微生物(ウイルス・細菌・菌類)とは何ですか。肥沃な土壌のばあい、1グラムの土のなかに何匹ほどの微生物が生きており、乾いた砂漠のなかには何匹ほどが生息していますか。団粒構造を成し、発酵・発熱するような肥沃な土壌を作るにはどうしたらよいのでしょうか(藤岡見解は、「帰りなん」論文の補説「地球とミミズと経済学」参照)。
(10) ①ヒトの大腸のなかには、何匹の微生物が生きており、その重さはどの程度ですか。
②現代の日本人の大腸内微生物の量と質、糞便の量は、戦前と比べて、どのように変化していますか。それはなぜですか。
③発酵する美しい大腸フローラを創り、ヒトの健康と人間関係の健康(=平和)を増進するために、欧米では「パーマカルチャー運動」が広がっています。ターシャ・テューダー、ベニシア・スミス、フリッツ・シューマッハー、M.K.ガンジー、「人生フルーツ」の津端修一夫妻などを範にして、家庭菜園・果樹・ハーブ園・手作りの食材・家具・衣服などを作る運動も広がっています。共通のテーマは、「土人=自然人文明の高次復活」ですが、これらの運動をどう評価したらよいのでしょうか。どうすれば「平和な土人文明」の高次復活ができるのでしょうか。
(11) ヒトが大人になるとはどういうことですか。「自己中心」の「生存欲求」の段階を超えて、「小我」を「大我」へと成長させ、宮沢賢治や聖フランチェスコのような「自己超越段階」の「宇宙市民」に発達していくにはどうしたらよいのでしょうか。
レポートは、 マナバのこの科目の「藤岡Aレポート」の部屋に10月17-20日(金)の間に提出してください。字数制限はありません。
10月21日以降に他の受講生が作成した藤岡Aレポートを読み、もっとも刺激を受けたレポートを3点選びだし、そのレポートの末尾にある「コメント」のボタンをクリックし、レポートのどの箇所からどのような刺激を受けたのかについて、書き込んでください。そのうえであなたの書き込んだ3点のコメントをコピーし、誰に対するコメントであるかを明記して、Bレポートに収録し、マナバの「藤岡Bレポート」の部屋に提出してください。字数制限はありません。
私(たち)に何ができるのか? 私(たち)は何をやらなければならないのか?
神田の授業で主題として取り上げてきた①南北問題の現状、②南北問題の構造的背景を踏まえて、「南北問題の解決に向けて、私(たち)に何ができるのか?私(たち)は何をやらなければならないのか?」について記してください。
20世紀後半以降、主に欧米社会において多文化主義が発展してきた経緯とその背景について、アメリカの公民権運動、オーストラリアおよびカナダの多文化主義などの例を挙げながら説明せよ。また、多文化主義の理念と特徴について説明するとともに、それが現在どのような課題と困難に直面しているかを述べよ。なお執筆の際には、以下のキーワードを用いること。
構造的暴力 基本的ニーズ 平等性 相互性 積極的平和
・中野レポートについては、必ず直筆(肉筆)で執筆すること。
・字数:2000字以上
・提出期間:12月20日(水)―12月25日(月)。学びステーションへ提出。
平和ミュージアム入館証を表紙の裏に添付すれば、3点を加算。
以下の10問から8問を選び、1月7日(日)-1月10日(水)の間に「マナバ」Cレポートの部屋に提出してください。
藤岡Cレポートなど諸レポート作成に役立てるため、12月24日(日)までに立命館大学国際平和ミュージアムを見学し、隅々まで探検してください(最低1時間は必要なので、午後3時半までの入館が望まれます)。ミュージアムは衣笠キャンパスの東側(馬代通)に位置し、土曜・日曜・祝日を含み(月曜日は休館。12月25日からは冬休み休館)、午前9時半から午後4時半まで開いています(入館は午後4時まで)。学生証(別人のものは無効、受講生名簿と照合)を提示すると、ミュージアム受付で入館証明書をもらえます。この証明書を中野レポート(12月20日から12月25日(月)までに学びステーションに提出)の表紙の裏にホッチキス等で添付すれば、3点を加算します(午後4時―4時10分までの入館者には別色の入館証明書を出し、減点とします)。
1)教科書であるヨハン・ガルトゥング『日本人のための平和論』第1部、4章・8章を読み、日本の防衛問題、領土問題、沖縄問題の解決についての著者の提案を吟味し、論評してください。
2) ①トルーマン政権は何のために、異なるタイプの原爆2発を中2日の間隔で投下したのですか。②日本をポツダム宣言受諾に追い込んだ決定的要因は、原爆の投下、ソ連軍の満州への侵攻に伴う日本軍の総崩れ、天皇制の条件付き存置の暗黙保証のうち、どれですか。③結局、米澤鉄志さんと母・妹さんたちを見舞った惨劇の責任は誰が、どのような形でとるべきなのでしょうか。 藤岡惇「原爆投下と敗戦の真実――米国の『アメとムチ』作戦の全貌』(藤岡のHPにあり)を批判的に読解し、あなたの見解を展開してください。
3) 立命の平和ミュージアム、「NHK戦争証言アーカイブス」、戦場体験放映保存の会が運営する「戦場体験史料館・電子版―体験記録を見る」、Bridge for Peace の「元日本兵へのインタビュー&交流の公式ブログ」などを訪問し、もっとも衝撃をうけた戦場体験を1つとりあげ、体験の背景を調べるとともに、衝撃を受けた理由を説明してください。
4) 今から80年前の1937年7月に上海で日中両軍の本格的な戦争が始まりました。日本軍は、上海での中国軍民の数ケ月におよぶ頑強な市街戦に難渋した後、中華民国の首都南京を攻略すべく西北西に進み、12月13日に南京城内に侵攻しました。攻略戦に参加した日本軍は何名ほどでしたか。意外な長期戦による兵站の不足から「捕虜は取らない、現地で処分する」という方針を日本軍が立てた結果、太平門での1300人、城外の幕府山の1万人をはじめ、南京城内と郊外で多数の中国人軍民が殺されたという主張があります。敗残兵と中国軍支持の民衆との区別がつきにくいことから、一般民衆が殺害・強姦されるケースが多発したともされます。当時首都防衛のために何名ほどの国民党軍が布陣しており、落城後に、どこで何名が「処分」され、何名が逃亡したのでしょうか。また犠牲となった民衆は、どこにどの程度いたのでしょうか。
5) いわゆる「日本軍慰安婦」をめぐって2つの見解が対立しています。彼女たちの調達方法、現地での監禁の程度、人道に反する苦役といった点で比較した場合、他国でもよく見られた兵士相手の売春婦と同質の存在であり、日本側には非がなかったというのが第一の見解です。この見解にたつ論者は、「日本軍慰安婦」は「性奴隷」ではなかったとする論陣を張り、『朝日新聞』や同記者の植村隆さんを糾弾しました。
他方他国と異なり、日本軍のばあい、慰安婦施設の設営・管理に軍部が関与しており、敵国人収容所から連行してきた女性だけでなく、虚言・甘言で連れてこられた女性の間にも、行動の自由を制限され、「性奴隷」と呼ぶほかない境遇に陥った者が相当数いたという見解があります。
①どちらの見解が正しいのでしょうか。日本軍慰安婦とされた女性たちの証言を聴き、その真実度を判断しつつ答えてください。インターネット上での情報サイト(Fight for Justice )も参考にしてください。②2015年末に米国の仲立ちで安倍政権は「この問題の最終的で不可逆的な解決をおこなった」とする日韓共同声明を発表しましたが、問題は再燃しています。それはなぜですか。
6) 安倍政権の思想的支柱となっているのは、「日本会議」と靖国神社だといわれます。①「日本会議」とは何ですか。安倍政権の閣僚のうち誰が、「日本会議国会議員懇談会」のメンバーですか。②靖国神社付属博物館である遊就館を訪問し(HPでの訪問のばあい、上映映画「私たちは忘れないーー感謝と祈りと誇りを」や「拝観者の声」は必見)、その歴史観について、立命館大学国際平和ミュージアムの展示と比較しつつ、評価してください。③同じ日本支配下におかれても、北朝鮮・韓国・中国人の間には支配への反感が強く、台湾人やインドネシア人の間では、日本支配時代への反感はそれほど強くないとされます。それはなぜですか。④テキスト7章を読み、真実の共有と和解を進めるためのガルトゥングさんの提言を論評してください。
7) 15年間の戦争は、230万人の日本軍関係者の死(うち6割は餓死、16%が溺死、5割の遺骨は戻らず)、2千万人ともいわれる周辺諸国民の犠牲をもたらすかたちで、終結しました。かかる惨事を招かない「別の国策」はなかったのでしょうか。
これをめぐって、3つの立場があります。①基本的に誤っていなかったというのが、日本会議の見地です。②1930年代に入って、英米(仏蘭)中心の帝国秩序に反抗し、ドイツやソ連と組んで、世界の再分割に乗り出したのが誤っていた、英米中心の帝国秩序に順応していたら悲劇は起きなかったというのが第2の立場です。安倍内閣が作成した「戦後70周年談話」の立場であり、①の論者の多くは今はこの立場に移っています。③1914-1919年頃を転機として(1900年の義和団事件、1910年の日韓併合を転機とする見解もある)、日本は、有色民族にありながら同様の「帝国」形成を、強烈な反発を排して、短兵急にめざしたことに問題の根源があったというのが、寺島実郎さんたちの立場です。現在の時点から見たばあい、どの立場が正確なのでしょうか。そう判断する理由は何ですか。
8) ①「核爆弾」とは何ですか。「ブースト型原爆」は単純な「原爆」や「水爆」とどう違うのですか。(藤岡惇「原爆投下と敗戦の真実」の注119)も参考にしてください)。②キャリーバッグに積んで、徒歩で運搬できるレベルにまで核爆弾の小型化が進んでいるという説がありますが、正しいですか。
9) ①核爆発の所要時間を1マイクロ秒とし、核ミサイルに搭載した「近接信管」(proximity fuse)の反応時間を9マイクロ秒とします。秒速20キロメートルで接近してくる敵の迎撃ミサイルに衝突される前に自爆するには、どの程度近づいたら、核爆発が始まるように近接信管をセットしておけば良いのでしょうか。②東京上空100キロのところで、1メガトンの核爆発が起こった場合、電磁パルス波を含む放射線はどのように広がりますか。低軌道を回る人工衛星編隊や、地上の電子機器や電気回線にどのような影響が出てくるでしょうか。
10) 日本には様々な核施設(原子炉、原発、放射線廃棄物貯蔵・再利用施設)があります。そのなかで、軍事攻撃(核ミサイル・通常ミサイル、航空機直撃、自爆テロ)に弱く、かつ甚大な被害が出る施設はどこですか。どのような被害が予想されますか。防止するには、どうすれば良いのでしょうか。
以下の9問から7問を選んで、答えてください。
1) 「幸せ」とは何ですか。藤岡「帰りなん、いざ豊穣の大地と海へ」(藤岡のHPにあり)を読み、藤岡の「幸せ」観を紹介するとともに、その意義と弱点について述べてください。
2) ①北欧のデンマークやスイス、中米のコスタリカなどは、資本主義の土台の上でも、膨張志向で好戦的な「帝国」化の道を歩まず、内を耕す小国自足の道を歩み、屈指の幸福度を誇る国を築いたといわれます。その秘密はどこにあったのでしょうか。 ②日本でも、20世紀初頭の時点で、内村鑑三・石橋湛山などは、対外侵略にもとづく帝国化の道ではなく、日本を小国型発展の道に導くべしと説きました。どうすれば実現したのでしょうか。藤岡「デンマークに学ぶ非暴力的な社会変革の道」(HPにあり)を批判的に検討しながら、究明してください。
3) ①1940年代から70年代末までの「修正資本主義」の時代には、世界的に資産格差が大幅に縮小し、消費市場が拡大し、高度成長の時代となりました。それはなぜですか。
②80年代に入り、新自由主義時代になると、資産格差が急激に拡大するようになり、今日では、米国の最富裕層3名の資産が下位半数の1.6億人の資産に、全世界では最富裕層の8名の資産が下位半数の37億人の資産に匹敵するに至ったとされます。なぜこのような巨大な格差が生まれてきたのですか。
③格差社会はデフレを激しくし、戦争を起こしやすくするという人がいます。その主張は正しいですか。根拠は何ですか。
4) 国際連合や欧州連合の平和観は、「コモン・セキュリティ」や「人間の安全保障」という考えに具体化しつつあります。これらの考え方は、軍事同盟にもとづく伝統的な秩序維持論と何が違うのですか。前者と類似した考え方にもとづき、ASEAN(東南アジア諸国連合)は、東南アジア平和友好条約(TAC)を結び、紛争の仲裁と解決の多様なしくみを築いてきました。この試みは、どのような成果と教訓を生み出しましたか。TAC型のしくみを東北アジアに広げることは可能でしょうか。
5) 9・11事件を引金にして、米国は英国とともに、イラク・アフガン戦争を始めました。開戦の理由・目的は何でしたか。当事者同士の相互理解、平和と幸福をもたらすうえで、この戦争はどんな役割を果たしましたか。藤岡「軍事経済から平和経済へ」および「ブッシュの8年間をどう見るか」(藤岡のHPにあり)を批判的に検討しつつ、この戦争の功罪を評価し、教訓を引き出してください。
6) 1950年に始まった「朝鮮戦争」は、67年を経ても終結していません。最初の40年近くは、武力統一方針を放棄しなかった北朝鮮側に重要な責任がありましたが、ソ連崩壊後の1990年代に入ると、北朝鮮はこの方針を放棄し、自力自衛の保障として、核兵器の保有努力を始める一方、「朝鮮戦争の終結」・「祖国の平和統一」を提唱するようになりました。その結果2000年前後になると、朝鮮戦争終結=平和協定と核兵器開発の中止との同時実現、南北の連邦化で合意寸前となるなど、希望満開の時代を迎えました。しかしその後一転して、拉致問題、核の秘密開発問題などが続々と表面化し、ノムヒョン政権下の模索はありましたが、紛争レベルは核戦争前夜にまで深刻化しています。①なぜ希望満開期からの暗転が生じたのですか。誰がどのような目的で暗転させたのでしょうか。
核ミサイルの開発・配備に総力をあげる北朝鮮にたいして、断念を迫る米国は、日本とともに軍事圧力を強めた結果、一触即発の危機に東アジアは直面しています。②北朝鮮が核ミサイルを開発・配備しようとしてきた目的・動機は何ですか。 ③北朝鮮の抱く希望・目的を「核抑止力」の保有以外の方法で実現させるにはどうしたら良いのでしょうか。北朝鮮の人々が安心できる、別の方策を提案してください。
7) 陸上イージスをはじめとするミサイル防衛をきっかけに、宇宙を舞台に未曽有の核軍拡競争が始まる可能性があります。専守防衛などの制約を取り払うため、改憲を行い、日米の軍事的一体化をさらに強めていけば、結果的には日本と世界の平和と安全を増すことになるのでしょうか。それとも人類共滅の危険を増やすことになるのでしょうか。東アジアにおける核戦争の危機を回避し、平和の道を拓いていくためには、何をしたらよいのでしょうか。
8) 日本内外で起こっている具体的な紛争を一つ取り上げてください。テキストの13章・14章・付録の叙述や、著者の提唱するトランセンド法やサボナ・メソッド、非暴力コミュニケーション法を参考にして、当該の紛争を非暴力的に解決するための実践計画を考案してください。
9) 核戦争の暴発や地球温暖化を抑制しつつ、「格差社会」を是正し、「平和な世界」を築いていくには、どうしたらよいのでしょうか。減炭素経済の構築、週休3日-5日制の一律実施、炭素消費税をもとにした生存権所得(ベーシックインカム)制度の導入といった改革案を藤岡は提唱しています。藤岡著の「平和の経済学」を読み、積極面と弱点を解明しつつ、もっと優れたあなたの試案を提起してください。
2018年1月29日から2月6日(火)深夜12時の間にマナバに提出してください。